看護師にとって職場の福利厚生の充実度は重要です。どの職場でも、常勤職員であれば労災保険や健康保険といった法定福利厚生が保証されています。しかし、住宅手当や退職金といった法定外福利厚生については職場によって差があるので、就職や転職の際に注意しなければなりません。慢性的な人手不足に悩まされている医療機関は、法定外福利厚生を充実させることにより、看護師を獲得しようと躍起になっています。看護師が不足しているのは、看護師の有資格者が少ないからではなく、看護師資格を持ちながら医療現場から離れている潜在看護師が多いからなのです。
激務に明け暮れる医療現場に嫌気がさして、潜在看護師となってしまうケースもありますが、出産と子育てのため離職し、そのまま潜在看護師となっている母親も少なくありません。こうしたママさん看護師は、子育てが一段落したら復職したいと考えることが多いものの、一旦現場を離れると、最新の医療技術についていけなくなるので、現場復帰を躊躇してしまいます。そこで、子育てを積極的に支援する福利厚生の制度を導入する医療機関が増えてきました。子育て支援として手当を支給したり、院内託児所を設けて夜間も子どもを預かったりする病院もあります。院内託児所は、病児保育所を兼ねていることが多く、保育中に子どもが体調を崩しても、専属看護師と小児科医が対応できます。子ども用の食事を提供する院内託児所もあり、ママさん看護師は、我が子が体調を崩しても引き取る必要がなく、食事も任せられるため、安心して勤務に専念できるのです。また、研修制度を充実させ、ブランクの空いたママさん看護師が最新の医療技術を習得できるよう福利厚生を整えている職場もあります。